昨今、「働き方改革」という言葉をよく耳にするようになりました。
この言葉自体はそこまで新しい言葉ではありませんが、2016年に第三次安倍内閣が発足した後、働き方改革に関する施策が具体的に発表されるようになり、最近はニュースでも多く取り上げられるようになりました。
しかしながら、働き方改革について、実際にその意味を理解できている人は多くないでしょう。
というわけで今回は、働き方改革の概要や背景、そして今後の政府の指針について、わかりやすく解説していきます!
目次
働き方改革の概要について
最近では、日本人の労働環境に関する様々な問題が表面化してきており、「ワーク・ライフ・バランス」や「多様で柔軟な働き方」を求める声が増えてきました。
そのような声に対して、安倍内閣は「一億総活躍社会の実現」により解決を図ろうとしています。
また、平成28年に閣議決定された基本方針では働き方改革について、
最大のチャレンジは、「働き方改革」である。多様な働き方を可能とする社会を目指し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現など、労働制度の大胆な改革を進める。
と述べられており、「一億総活躍社会」の実現のために「働き方改革」を重要視しているのがうかがえます。
つまり、日本の様々な労働問題を解決しようとする動きこそが「働き方改革」なのです。
働き方改革が必要になった背景
ここからは、その「働き方改革」が必要になった背景について解説していきます。
今回は、大きく4つの理由に焦点を当てました。
労働人口の減少
労働人口とは、「15歳以上の就業者および失業者」のことを指していますが、総務省の調べによると、2060年までに労働人口が大きく減少することが見込まれています。
引用:我が国の労働人口における課題(総務省より)
また、15歳から64歳までの生産年齢人口については、2060年までに4418万人にまで落ち込むと見込まれており、労働に従事することのできる人口の減少が大きな問題となっています。
長時間労働
日本には「過労死」という言葉が存在するように、会社での長時間労働が問題になっており、欧州諸国と比べると、長時間労働の割合が非常に高くなっているのが現状です。
働き方改革の影響もあり残業を強制的に減らしている会社も増えてきましたが、未だに残業や長時間労働を拒否しづらい会社があるのも事実。
そのため、今後の「働き方改革」において、EU諸国のように国として時間外労働の上限を定め、罰則を設けることができるかどうかが課題になってくるでしょう。
労働生産性
労働生産性とは、労働者一人当たりで生み出す成果を指標化したものですが、日本人の労働生産性はOECD加盟35か国の中でも常に20位前後と低い水準となっています。
引用:労働生産性の国際比較2016年版(公益財団法人日本生産性本部より)
また、OECD加盟国平均を下回っているだけでなく、先進7か国(G7)でも労働生産性は最下位となっており、日本の課題の1つと言えるでしょう。
少子高齢化
日本の65歳以上の人口比率は増え続けており、2060年には40%になると予想されています。
この原因として挙げられるのは、もちろん団塊世代の高齢化ですが、加えて出生率の低下も原因の一つとなっています。
その原因として、昨今は夫婦共働きの家庭が増えていますが、子どもを預けるための保育所が足りないという「待機児童問題」が深刻になっているということが挙げられます。
加えて上記のような長時間労働問題もあるため、仕事と子育てを両立することが難しく、ほとんどの夫婦が安心して子どもを産むという選択を取ることができないというのが現状です。
働き方改革に関する今後の指針
ではここからは、働き方改革に関する今度の政府の指針について解説していきます!
非正規雇用の処遇改善
日本の非正規雇用者の割合は35%を超えていますが、その賃金は正規労働者の6割程度です。
欧州諸国の非正規労働者が、正規労働者の8~9割の賃金を得ていることを考えると、日本の非正規労働者の環境は決して良いとは言えません。
そのため今後の働き方改革関連法では、
- 同一企業内における非正規労働者の不合理な待遇の禁止
- 有期雇用労働者の均等待遇の確保
- 派遣労働者の均衡待遇または労使協定による待遇
などが義務化されます。(一定の要件あり)
賃金引き上げと生産性向上
アベノミクスによって日本経済は緩やかに回復し、現在は過去最高と言われていますが、景気が賃金に反映されていないという現状があります。
そのため、
- 最低賃金を年率3%をめどに引き上げ、全国加重平均を1,000円にする
- 生産性向上と賃上げを実現した企業への助成制度
といった、労働者が意欲を持って働くことのできる環境を整備していきます。
長時間労働の是正
働き方改革関連法が成立したことで、36協定がある場合でも、
- 時間外労働は月100時間未満まで(年単位では720時間)
- 中小企業における60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の猶予措置の廃止
- 年5日の有給休暇の取得義務化
といった制度が導入されています。
柔軟に働くことのできる環境整備
日本では「副業・兼業」を認めている企業は少なく、子育てや介護と両立して働くためのテレワークを利用できる企業も少ないのが現状です。
そのため、国として実効性のあるガイドラインを策定し、普及を加速させていきます。
さいごに
これまで解説してきたように、国が本格的に働き方改革に着手し始めているため、企業自身も社員の働き方や人材の活用法を見直していかなければなりません。
そのため、企業の経営層だけでなく、人事にも時代に合った新しい働き方を強制させていくべきでしょう。
とはいえ、新しい働き方を導入すれば仕事が回らなくなってしまう恐れもあり、新しく人材を採用しようとすれば膨大なコストがかかってしまいます。
なので、新しい働き方を社内に導入するのであれば、アウトソースをうまく活用できるかどうかが鍵になるでしょう。
派遣とアウトソースの使い分け方を理解することで業績は変わる!オンラインアシスタントサービスなどのアウトソースを活用すれば、自社社員に柔軟な働き方を提供し、仕事もこれまで以上に効率よく回すことができます。
今後の働き方改革の波にうまく乗るためにも、アウトソーシングサービスをうまく活用していきましょう!